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T細胞エピトープ予測
抗原プロセシングからT細胞認識に至るまでの一連の経路をモデル化した、包括的なT細胞エピトープ予測。
アプローチ
NEC Bioのプラットフォームは、予測を単一の要素に限定するのではなく、免疫認識に至るまでの一連のプロセス全体をモデル化しています。また、多様なHLAアレルに対応しているため、幅広い患者集団への適用が可能です。NEC Bioは、公開データおよび独自データを活用し、複数の機械学習モデルを活用した高度なソフトウェアシステムを開発しています。T細胞応答を効果的に誘導するのに必要な特性を持つ抗原を予測し、免疫療法の臨床ターゲットとして有効性を示すように設計されています。一般的なアプローチとは異なり、免疫システムの各ステップを機械学習モデルで再現することで、効果的な細胞性免疫の誘導につながる予測を行います。本システムを構成する主要な機械学習コンポーネントについて、以下でご説明します。

T細胞エピトープ予測が依然として困難な理由
真にT細胞応答を誘導するペプチドを予測することは、以下の理由から容易ではありません。
- 複雑な認識経路:細胞性免疫応答は厳格な制御下で起こる複数段階のプロセスです。抗原は発現・処理された後、HLA分子に結合して細胞表面に提示され、さらに患者のT細胞受容体に適合する必要があります。
- HLA結合能予測の限界:多くの予測ツールはHLAへの結合親和性という一つのステップのみをモデル化するため、結果的に多数の結合候補を抽出します。しかし、そのうち真のエピトープはごく一部であり、非効率な検証に時間とリソースを浪費するリスクがあります。
- HLAの複雑性:HLAの種類や発現は個人間で大きく異なり、特にHLAクラスII(CD4)に対するエピトープの予測は困難です。
HLA結合
抗原が免疫反応を引き起こすかどうかを見極める上で重要なステップは、各抗原のHLA分子への結合度を予測するパートです。なぜなら各抗原は、各患者が有する特定のHLAに結合し、提示されることで、はじめて体内を循環するT細胞に認識されるからです。HLA Bindingは複数の異なる結合親和性予測モデルを組み合わせることで、HLAクラスIおよびクラスIIの双方に対して高精度な予測を実現しています。

細胞内プロセシング
抗原がHLAに結合し、細胞表面に提示されるためには、まずその親タンパク質が細胞内のプロテアソームによって分解され、その後TAPトランスポーターによって小胞体へ輸送される必要があります。細胞内プロセシングモジュールには、複数の機械学習モデルが組み込まれており、大規模な免疫ペプチドミクス質量分析データを学習しています。このモジュールではペプチドがプロテアソームによって適切に生成され、さらに抗原提示に適しているかを確率的に評価します。このステップにより、予測されるエピトープが単なる免疫反応を誘導するかのみならず、実際に疾患に関連し、細胞内で分解・生成されうるかを高精度に予測する事が可能になります。

抗原提示
候補となる抗原がT細胞を活性化するには、HLA分子に結合した状態で細胞表面に提示される必要があります。このプロセスに影響を与える主な要因は、(1)抗原と特定のHLA分子との結合強度、(2)抗原提示機構によるプロセシング効率、(3)変異を含むタンパク質の発現レベル、(4)元となるタンパク質が抗原提示経路にペプチドを供給する能力です。NEC Bioは、これら要因が相互どのように作用するかを学習した機械学習アルゴリズムを開発しており、各HLAアレルについててエピトープが細胞表面に提示される可能性を予測します。

TCR認識
T細胞応答をプライミングする最後の決定的なステップは、患者のT細胞レパートリーの中に、提示された標的ペプチドに十分な結合能をもつT細胞受容体(TCR)を有するクローンが存在するか否かです。患者のTCRクローンは、確率的な遺伝子再構成メカニズムによって生まれ、自己ペプチドを認識しないクローンのみが成熟します。そのため、NEC BioではTCRによる認識をモデル化することで、適切な標的候補の選定を行います。

免疫原性
発現量、抗原プロセシング、抗原提示、およびTCR認識を統合的に評価することで、Immunogenicityモジュールは各配列について、それが真のエピトープである確率、すなわち標的細胞に対するT細胞応答を誘導できる可能性を評価します。

T細胞エピトープ予測技術の応用
NEC BioのT細胞エピトープ予測プラットフォームが、がんおよび感染症領域でどのように活用されているかをご紹介します。